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小林よしのり
2015.7.1 00:57政治

百田を叩くのは言論の自由である


未だに憲法とは何か、立憲主義とは何かが分かってない

人が多い。

百田尚樹がマスコミに批判されているのを見て、

「表現の自由」が侵されていると主張する人がいる。

これは間違っている。

 

百田尚樹が沖縄の新聞を潰せと言うのは、民間人が表現の

自由を行使しているのだから勝手である。

だが、マスコミ・民間人がこれを批判するのも言論の自由を

行使しているのだ。

民間人が民間人を叩くのは自由だから、在特会が罵詈雑言の

ヘイトスピーチで在日朝鮮人を叩くことを禁じることが

出来ない。

サカキバラ元少年Aが被害者をあざ笑うのも言論の自由を

楯にしているから困ったものだし、当然、それを叩く

マスコミも言論の自由を行使しているのだ。

わしはヘイトスピーチも元少年の出版物も、「公共の福祉」

に反していると思うが。

 

つまり憲法21条の「集会、結社及び言論、出版その他一切の

表現の自由は、これを保障する」という条文を守るのは、

権力の側なのである。

憲法は国民が国家権力を縛るためのもの、という立憲主義の

本質が未だに分かってない人がいるのが問題だ。

 

なんと、自民党議員の中にも、表現の自由を守るのは自分たち

権力者だと知らない者が多い。

例の百田を呼んだ妄言勉強会の連中である。

自民党の議員はネトウヨがバッジつけてるだけのバカが実に

多いのだ。

 

安倍首相からしてネトウヨがコアな支持者だから、その配下の

議員たちが立憲主義を知ってるはずがない。

だから勉強会でマスコミの潰し方、言論の自由を抹殺する方策を

出し合ったりするのだ。

大西議員のような権力者が、スポンサーを利用して、朝日新聞を

潰せというのは、政府批判を委縮させてしまう効果があるから、

憲法違反なのである。

それでなくても、最近の大手新聞やテレビは、安倍政権批判を

若干手控える傾向がある。

「NEWS23」は権力監視の使命をよく全うしていると思うが。

今の状況は、とことんマスコミへの権力の干渉を批判する論調

が必要である。

 

百田が批判されるのは、権力と結びつく人間だからである。

ネトウヨ化した権力者たちを扇動する危険性があるからである。

立憲主義の何たるかを知らない権力者、言論の自由を弾圧
しようと
する者は、国民の敵だからである!

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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